診療紹介
産科診療
当科は、岐阜県の総合周産期母子医療センターとして、異常妊婦を中心に診察をしています。具体的には、早産、合併症妊婦、胎児に異常を抱えた妊婦さん等の診療となりますが、一方で普通の分娩も取り扱っております。
| 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 分娩件数 | 504 | 468 | 446 | 490 | 599 |
| 早産 | 82 | 78 | 114 | 117 | 135 |
| 帝王切開 | 233 | 219 | 198 | 259 | 313 |
| 緊急搬送 | 170 | 136 | 144 | 126 | 136 |
新しい周産期診療 胎児診療科(産科)
既存の産科診療に加えて胎児治療、胎児管理、出生前診断、母体管理などをはじめとした高度な医療を開始し、当院も新時代の総合周産期センターとして2019年4月に生まれ変わりました。今まで助からなかった生命に少しでも光が当たり後遺症のない健康な赤ちゃんの誕生を目指しスタッフ全員で日々奮闘しております。また新しい医学教育の形や、全員主治医制というチーム医療による働き方改革など新しい産科メニューも次々と導入しているところです。また産後サポート、心の内面にも寄り添った優しい診療も目指しています。
岐阜県、そして日本の未来の希望はこれから生まれくるこどもたちです。その出産という喜びのシーンの背景にはとても危険を伴う瞬間もありますので、安全にしっかりとお支えする医療体制を構築しています。
病床数も限られており皆様にはご迷惑をおかけすることもありますが、なるべく多くの方のご期待に応えられるよう病院をあげて頑張ってまいりますので今後ともよろしくお願い申し上げます。
胎児診療科(+ハイリスク産科)、産婦人科の専門性
我々は、近年の医療の専門性の進歩から、産婦人科医療も専門性の維持の必要性を重要視しています。診療のみならず、教育のためには、エキスパートがよりその専門性を磨き特化した医療の推進の必要があります。それは内科でも内分泌や循環器、外科では消化器と循環器が別れているのと同じことでしょう。胎児診療科では、胎児治療、出生前診断から胎児循環評価、母体合併症管理の専門性を維持、更新するだけではなくベーシック産科学に関しても臨床研究を行い高みを目指しています。何より症例が多く、短期間で普段経験できない症例を全員主治医制により経験を共有することができます。
一方で産婦人科専門医を目指す研修医にはその医師の希望に沿ったローテーションを円滑に行い、産婦人科全般をローテーションできるようなシステムを構築しています。

臨床実習、選択実習を希望される医学生の皆さんへ
現在、岐阜大学から毎週2-3人の医学生、一ヶ月間の選択実習も受け付けております。
また初期研修医も病院全体で受け入れております。お気軽にお尋ねください。
ミニレクチャー、日々のカンファレンス参加など普段は体験できないような基本からハイレベルな内容まで幅広く、また深く研修していただけます。
胎児ドック
赤ちゃんのさまざまな問題点は、超音波画像診断の進歩により出生前に明らかにされることが増えてきています。現在、当院は、東海地方を中心とする、胎児疾患の診断、治療などの管理を専門的に行っています。そのため、ほぼすべての胎児疾患に対応すべく、日々診療にあたっています。必然的に、早い時期からの超音波診断にも力を入れています。
具体的には、妊娠初期(11-14週)、妊娠中期(18-20週前後)、妊娠後期(28-30週前後)に、胎児の大きな問題がないか、流早産や、妊娠継続に大きな問題がないかなど、通常の健診よりも時間をかける専門的な「胎児ドック」を行います。主に、初期、中期では、胎児の生命に関わる大きな構造異常がないかを中心に、後期では出産に向けて大きな問題がないか、胎児発育や後半に発症する心機能、胎盤循環異常などにも焦点をあてて確認致します。胎児疾患に関しては、羊水量、脳神経、顔面、骨疾患、心臓、肺、腎臓、腸など多岐にわたって観察を行います。また、臍帯、胎盤位置,必要に応じて子宮頸管長(早産のリスク評価)なども評価しています。安心して出産できるかどうか、赤ちゃんの命に関わる問題がないかなど、総合的な周産期評価をおこない、赤ちゃんに関する不安にお答えできるように説明させていただいております。
万一、何らかの問題点が指摘された場合には、さらに詳細な検査を行います。その上で、小児科、小児外科など、出生後の管理を行う診療科と検討し、最善の策を考えていきます。(後ページ参照)
胎児心臓超音波検査
先天性心疾患は約100人に一人の赤ちゃんに認められ、胎児の形態異常の中では最も頻度の高いものの一つとされています。しかも、出産直後からの治療を開始しないと赤ちゃんの命にかかわってしまう重篤なものもあるのです。また本疾患がきっかけとなって、他の様々な胎児異常が見つかることもあります。こうした理由で胎児の先天性心疾患の診断は、出生前診断の中でも最も重要なもののひとつなのです。しかし心臓は非常に複雑な臓器なので、胎児の先天性心疾患は出生前診断が非常に難しく、診断率が施設や地域によって大きく異なることが問題となっています。
当院は、先進医療としての「胎児心臓超音波検査」が可能な施設としての認定を受けており、母体胎児専門医、小児循環器科医をはじめ、常に胎児の心臓スクリーニングを行っている経験豊富なスタッフにより胎児の心臓超音波検査を行っております。また先天性心疾患が診断された場合は、連携の上綿密な治療計画をたて、赤ちゃんが最良の条件で治療のスタートを切れるようにサポートを行っております。先天性心疾患が見つかってしまうことは非常にショックな出来事ですが、生まれる前に見つかることで、一番いい治療法を準備することができるのです。それこそが赤ちゃんの持つ可能性を最大限に生かしてあげられるチャンスなのです。可能性を信じてあげれば、赤ちゃんもきっと頑張ってくれるはずです。赤ちゃんの持つポテンシャルを最大限に発揮してもらうため、今日も我々は赤ちゃんの病気に目を光らせています。
当院における『胎児血流計測』による胎児循環評価について
胎児の超音波検査と言ったら、皆様はどんな検査を思い浮かべるでしょう?
羊水の量や赤ちゃんの推定体重を測ったり、赤ちゃんの顔を見たりということが一般的ではないでしょうか。普段妊婦健診で実施されている超音波検査は、赤ちゃんが元気で問題が無いかをチェックすることが目的なのでこうした内容で十分だと思います。当院は、一般的な妊婦健診で赤ちゃんの問題を指摘された妊婦さんも多くご紹介いただきます。問題を抱えた赤ちゃんの状態を正確に把握する必要があるのですが、おなかの中の赤ちゃんは直接診察することが出来ません。血圧を測ることは出来ませんし、血液検査、尿検査や心電図も容易に行うことは出来ません。
そこで有効な検査が『胎児血流計測』です。胎児血流計測は普通の妊婦健診のようにおなかからの超音波検査で行いますが、赤ちゃんの様々な血管の血流波形やその速度を計測します。胎盤と赤ちゃんをつないでいる臍の緒の動脈、赤ちゃんの脳の中を走っている動脈、胎盤から赤ちゃんに帰ってくる肝臓の中の静脈や心臓に流入する直前の静脈など様々な血管が計測の対象です。発育不全の赤ちゃんが酸素不足に陥っていないか、お母さんが不規則抗体(赤血球に対する抗体)を持っている際に、赤ちゃんが貧血に陥っていないか、先天性心疾患をもつ赤ちゃんの心臓に負担がかかっていないかなど、胎児血流計測を行うことで様々な情報が得られます。また我々が行っている胎児治療を必要とする赤ちゃんには、複雑な病態が重なって存在することもあるため、胎児血流計測は無くてはならない検査です。
また当科では現在、胎児血流計測を用いた臨床研究も行っています。まだ分かっていない胎児の生理現象や、胎児疾患の病態を解明することで、胎児医療の進歩に微力ながら貢献できるよう努力を続けています。
臨床研究 胎児心機能の新しい評価法
胎児は身体所見の観察やレントゲン検査、カテーテル検査などが不可能であり、心機能の評価は超音波検査が唯一の方法です。代表的な心機能の評価方法には、心胸郭面積比(CTAR)やTei index、cardiac output、Ejection fractionなどがあります。
ここでは当院で行っている胎児心機能の新しい評価法について紹介します。
Fetal HQ
Fetal HQ®はSpeckle-Tracking法を用いて胎児心室壁の運動を解析する方法です。Speckle-Tracking法とは心筋の断層エコー画像上の小斑点(speckle)を追跡し心筋局所の機能を解析する方法で、成人の心臓超音波検査でも用いられています。一回数秒の動画の保存で複数の心機能が同時に評価できる新しい検査法です。
Fetal HQで測定できる項目
Sphericity index(SI)
心室の形態を定量化する。SIは四腔像における短軸径に対する長軸径の比率として表され、心尖部〜心基部を長軸に直交する24のsegmentに分け、segmentごとのSIを算出できる。1に近づくほど球形であると言える。
- 成人では心不全が増悪するほど心室内腔形が球形に近づく。

Fractional shortning
(拡張末期径−収縮末期径)/拡張末期径×100で表され、短軸で収縮能を評価する。SegmentごとにFSを算出できる。

Fractional area change
(拡張末期面積–収縮末期面積)/拡張末期面積×100で表され、面積で収縮能を評価する。

Global strain
(収縮末期心室内周長−拡張末期心室内周長)/拡張末期心室内周長×100で表され、心筋全体のストレイン(伸び縮み)を数値化することで心筋の三次元的な動きを評価する。

Fetal HQの臨床における活用はまだ限定的です。当院では先天性心疾患の胎児や、双胎間輸血症候群・胎児胸水・胎児貧血といった胎児治療が必要な胎児の心機能を評価するために、従来用いられている心機能の評価項目に加え、Fetal HQを用いて心エコー検査を行っています。データを積み上げ、Fetal HQの活用の幅を広げていきます。

胎児心不全の一例:著明な心拡大と収縮機能低下を認める
早産リスク評価外来(早産、破水や感染性流産の既往歴のある方のリスク評価と予防対策)
前回の妊娠で切迫早産になって長期入院が必要であった方、また破水や感染による流産になった方は次の妊娠が非常に心配であろうと思います。このような方に対する次回の対策は未だに定まったものがありません。我々は長良医療センター時代から、予防的な対応を重視して妊娠初期から専門医によるリスク評価を行い、患者さんのリスクに合わせた対策を講じることで早産を実際に減らすことに成功してきております。現在も、 総合周産期センターということで、妊娠20週で破水された方や妊娠22週で胎胞が見えてしまった方などが次々と搬送されてきます。しかし、そのような「大火事」になる前に、妊娠初期より早産ハイリスクの評価を行い予防的な対策をとることが重要と考えております。そのような既往歴のある方、また妊娠初期から出血を繰り返している方などは流産、超早産のリスクが高いのでできるだけ早く外来にお越しいただき、予防的な対応が間に合うように策を講じていければと考えます。かかりつけ医の先生と相談いただき、当院の専門医の外来受診をしていただければと考えております。
早産予防プロトコール
早産で出生した児には、臓器が未熟であるため様々な合併症がおこる可能性があり、特に早い週数での早産は、時に児の命に関わる重大なリスクとなり得ます。早産はそんな怖い一面を持つため、是非とも予防をしたい疾患ですが、原因がはっきりわからずに繰り返してしまうこともあります。当院ではそれぞれの妊婦さんの過去の妊娠経過、妊娠初期の検査所見や診察所見より早産リスクを評価しています。早産リスクが高いと判断される場合は、感染、炎症予防を中心とした『早産予防プロトコール』を推奨しています。もちろん全例で早産を予防できるわけではありませんが、繰り返す早産歴のある方や多胎妊娠といった通常よりも早産のリスクが高い方においても一定の効果を上げています。
子宮頚管縫縮術
子宮頚管無力症に対する予防的な治療法で腰椎麻酔下で行います。
妊婦健診では経腟超音波法を行い、子宮頚管長を計測します。初期からの子宮頚管長の短縮は流早産のハイリスク群であり、全く自覚症状を伴わずに子宮口が開大してくることもあります(子宮頚管無力症)。このような短い頸管長を認めた場合で、そのほかの所見も加味して総合的に判断し、必要な場合にはこの手術を行います。
手術時は針付きの縫縮専用のテープを用いて、子宮頚管を縫縮します。シロッカー法とマクドナルド法がありますが、流早産の予防効果はどちらでも大きくかわりないといわれており、当院では通常マクドナルド法を行っております。
この手術を行ったから早産の管理が必要ない、というわけではありません。入院管理となった場合に少しでも妊娠期間の延長を図るための補助的な治療と考えてください。
経過が安定しているようであれば、経腟分娩予定の場合は妊娠36週頃、帝王切開予定であれば帝王切開後に抜糸します。
本治療のエビデンスの構築は未だ道半ばではありますが、症例によっては効果を上げるケースもありますので、条件をよく加味して行うか決定しています。

早産予防 ペッサリー
妊娠経過の目標の一つは正期産(妊娠37週以降)での分娩であり、妊娠37週未満の分娩は低出生体重児となるリスクが高く、また出生後十分な新生児管理を行ったとしても児の呼吸障害やその後の神経発達に大きな影響を及ぼす可能性があります。このため、切迫早産に対し入院安静や薬物治療を行っています。子宮頸管ペッサリーは海外の研究において、母体の入院期間や薬物投与による負担を軽減できる可能性が示唆されております。スペインで行われた無作為割り付け試験では切迫早産の予防として子宮頸管ペッサリーを装着した群は通常の切迫早産治療群と比べ、妊娠34週未満の早産が有意に低かったとしています。また、他にも子宮頸管ペッサリー群は通常の切迫早産治療群と比べ早産を減少させたとの報告もあります。子宮頸管ペッサリーは経腟的に子宮頸管周囲に装着することで切迫早産を予防するとされ、装着後入院期間の短縮、投与薬物量の減少、長期安静に伴う母体への合併症軽減が可能となる可能性が推定されています。
本ペッサリーは2020年2月現在、本邦では切迫早産への保険適応はまだないため保険適応外使用となります。現在、国内で保険収載を目指した動きが進んでいるようです。
当院では、ご自身でご購入いただいたペッサリーを内診時に膣に挿入するお手伝いをさせていただきます。このことで子宮の下降を防ぎ、少しでも子宮口開大を予防し、安全に妊娠期間の延長を図れればと考えます。なお有害事象としては帯下(おりもの)の増加が報告されていますが、臨床上は大きなものではありません。

TTTS(双胎間輸血症候群)
双胎間輸血症候群(twin-to-twin transfusion syndrome : TTTS)は、一卵性の双子の中でも一つの胎盤を二人の胎児で共有するタイプ(一絨毛膜双胎)の5-10%に起こる病気です。双子の間での血液のやりとりのバランスが崩れることによって起こり、一人の羊水量が非常に多くなり、もう一人の羊水量が非常に少なくなってしまいます。どちらの児も状態が悪くなる可能性があり、重症なTTTSでは無治療の場合、死亡率が90%と非常に高いことがわかっています。重症TTTSに対する胎児治療としてレーザー治療(胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術;FLP)を行うことで、児の生命予後、神経学的予後が改善することが期待でき、日本では9つの病院で治療が可能です。2019年に当院へ長良医療センターから胎児治療チームが移動し当院でのレーザー治療が可能となりました。現在は岐阜県内だけではなく、東海、北陸、近畿地方から患者さんのご紹介をいただいています。2012年より保険収載されています。


無心体のラジオ波焼灼術(RFA)
一絨毛膜双胎では2人の胎児で1つの胎盤を共有しているために、各々の胎児の血液循環は全く独立したものではなく、つながっています。無心体には血液を送りだす心臓がないので、健常児の心臓は自身の体と無心体の 2 つの体に血液を送らなければなりません(健常児の心臓は、2 人分の仕事をしています)。このような状態が続くと、健常児の心臓はこの過剰な心臓への負担のため、心不全となり全身のむくみ(胎児水腫といいます)をきたすこととなります。また、突然無心体の血流が途絶えると、健康な赤ちゃんも死亡に至る怖い病態です。そのため胎児治療をしない場合の死亡率は高いといわれています。当院でも健常児から無心体への血液の流れをラジオ波で止めて、健常児の心臓の負担を減らすラジオ波焼灼術(RFA)を行なっています。2019年より保険収載されました。妊娠15週以降での治療適応が出てきますので詳細は外来でご相談ください。

EXIT
(ex utero intrapartum treatment procedure)
EXITとは、帝王切開術時に胎盤と臍帯でつながったままの胎児に対して、胎盤からの血流を維持しながら子宮外で手術や処置を施し、完了した後に臍帯を切断して児を娩出させる胎児治療をいいます。主に先天性上気道閉鎖(congenital airway obstruction syndrome; CHAOS)や頭頸部腫瘍などによる胎児の気道閉鎖状態に対して行われます。
胎児期は胎盤・臍帯を介して母体から酸素を得ますが、出生後は母体から独立し自身で呼吸をしなければなりません。児の気道が閉塞または狭窄する何らかの疾患があった場合、母体から独立した後は迅速な気道確保が不可欠となりますが、気管挿管や気管切開には時間を要するため、その間に児の血中酸素濃度は下がり続けます。EXITを行うことで胎児胎盤循環を維持できるため、児への酸素供給を行いながら気道確保の時間を作ることができます。今日は気道確保困難例だけでなく、巨大な頸部腫瘤や胸腔内腫瘤の摘出、出生後に著しい呼吸循環不全が予想される先天性心疾患例に対しても適応が広がっています。
周産期における高難度新規医療技術として認定されています。
当院で行ったEXIT
先天性上気道閉鎖(CHAOS)の胎児に対してEXITを行いました。
EXITは多診療科・多職種によるチームを構成して取り組むことが不可欠です。産科医、麻酔科医、耳鼻科医、新生児科医、小児外科医、手術室看護師、臨床工学士、助産師などの参加が必要です。事前に複数回にわたる合同カンファレンスを行い、症例の情報共有、人員の配置、必要物品、手術の手順などを協議しました。実際に手術室でシミュレーションを行い、麻酔導入から帝王切開術開始、胎児の露出、胎児の気道確保、娩出後の児の移動など細かく動きを確認します。さらに途中でEXITを断念せざるを得ない場合の判断を行う役割、その後の児の治療についても事前に決めておく必要があります。術者だけでなく、全体の状況を俯瞰して観察し、術者に伝達する役割も重要です。多くのスタッフの協力により、無事にEXITを成功させることができましたので周産期のチームワークが機能しているとも言えるでしょう

胎児胸水
胸水とは胸郭の中(肺の周り)に水がたまってしまう状態で様々な原因によって起こります。胎児の心臓の病気や血液の病気、感染症などが原因で起こるもの(二次性胸水)と、胸郭内にリンパ液が漏れ出す乳び胸(原発性胸水)では管理方法が異なるため、正確な診断が必要です。二次性胸水の場合はその原因疾患を突きとめ、胎児期にその疾患に対する治療を行ったり、出生後の管理につなげていきます。乳び胸において胸水が大量の場合には胸腔内臓器(肺、心臓、食道など)が圧迫されるため、肺の形成障害や心臓のポンプ機能不全がおこり、児の生命に関わる危険性があります。当院では児の大量胸水に対する胎児治療:胸腔羊水腔シャント術を行っております。胸腔羊水腔シャント術は、超音波ガイド下に柔らかいチューブを児の胸壁に設置することで、胸水を持続的に羊水腔内へ排出することが可能にする治療法です。シャントチューブ設置により、心臓の機能の改善や肺低形成の予防をはかり、治療前に胎児水腫に陥っていた重症な児も約70%で救命することが可能です。
2012年に保険収載されています。

胎児輸血
おなかの中の赤ちゃんも、さまざまな原因によって貧血になることがあります。大人の場合、血液検査によって貧血があるかどうか調べますが、おなかのなかの赤ちゃんも基本的には同じ血液検査で調べます。超音波で確認しながら、お母さんのおなかを通して針を刺し、臍帯から血液をとります。これは簡単なことではありません。そのため最近では、治療を必要とする貧血があるかどうかを、超音波検査で推測する方法が知られています。赤ちゃんの頭の中大脳動脈という部分の血流速度を測る方法です。超音波検査で胎児貧血が疑われた場合、臍帯穿刺を行い、臍帯血の採血をして確認します。
血液型不適合:母体Rh(-)で胎児がRh(+)の場合、またその他の不規則抗体をもっている場合、胎児貧血を起こすことがあります。
母児間輸血:非常に稀なことですが、児の血液が母体血液内へある程度の量流入し、児の血液に対する抗体を作ってしまうことがあります。母体血液内に胎児の赤血球成分(HbF)がたくさん検出されるかどうかで、診断します。
胎児水腫(パルボウイルス感染):妊娠中にリンゴ病の原因であるパルボウイルスに感染すると、中には胎児感染を起こし、胎児貧血となりむくみを起こす場合があります。母体血液検査で、最近初めての感染があったかどうかを調べます。
超音波で臍帯静脈の位置を確認しながら、採血に使う細い針を用いて、臍帯静脈を穿刺し、輸血を行います。貧血の原因によっては、何度か輸血を繰り返すこともあります。
上記のリスクがあっても、ほとんどの場合は輸血を必要とする様な胎児貧血とはなりません。しかし慎重に経過をみていないと貧血のサインを見逃すこととなり、治療のタイミングを逃してしまいます。そうなると、胎児の脳障害や、胎児死亡を起こすこともあります。まずは、胎児貧血を起こすリスクがあるかどうかの判断が重要となります。
2020年保険収載となり、胎児治療を行う施設でおこなわれる治療として認知されています。

人工羊水注入療法
羊水とは子宮内で胎児のまわりにある水で、ほとんどが胎児の尿からできています。
実際に羊水量を測定することは非常に難しいので、簡単な計測法として超音波検査による測定方法が知られています。妊娠後期では、子宮の4か所で羊水の深さを測定し、それを合計したAFI(Amniotic Fluid Index)という値です。妊娠週数によっても変動はありますが、おおよその目安として8cm未満は羊水過少、25cm以上は羊水過多とされています。また双胎や妊娠早期の場合は全体の量だけでは判断できないので、個々の胎児のまわりの最大の1スペースに羊水の深さがどれくらいあるのかを測定します。2cm未満を羊水過少、8cm以上を羊水過多と考えます。
羊水過少症の原因
破水したり、胎児の尿が少なくなったりすると、羊水過少症となります。羊水過少が発見された場合、まず破水がないか確認します。水っぽい帯下を自覚できることがほとんどですが、中には気づかないうちに破水していることもあり、診察時に羊水の流出がないか見て判断します。破水は母児の感染リスクになり、また時期によっては赤ちゃんの救命が難しくなることもあるため、早期発見はとても重要なことです。
胎児の尿が少なくなる原因として、胎児の腎機能不全や尿路閉塞もあります。早い時期に羊水過少が進行してくるものには、重症で救命が困難な病気もあり、まずは超音波検査での診断が大事です。しかし羊水が全くない状態では超音波検査で正確な診断をするのが難しくなるので、場合によっては羊水注入を行い観察しやすくすることもあります。妊娠中期に羊水が減少してくる場合、胎児発育遅延などにより、胎盤機能の低下が関係していることがあります。
人工羊水注入療法
羊水は胎児の周りでクッションの役割をはたしており、臍帯の圧迫などを防いでくれています。そのため、羊水が減ってくると臍帯が圧迫を受けやすくなり、胎児の低酸素状態を引き起こすことがあります。重症の場合には胎児死亡の危険もあるため、早く分娩し胎外で治療してあげる必要が出てきます。しかし早産によるリスクが考えられる非常に早い週数では、少しでも妊娠期間を延長するため、当院では人工羊水注入を行っています。羊水注入とは、超音波で子宮内の様子をみながらおなかに針を刺し、温めた生理食塩水を子宮内に足していく方法です。この方法により、臍帯圧迫を和らげることが期待できます。
主な対象
- 子宮内胎児発育不全(FGR)における羊水過少
- 妊娠22週未満における破水は慢性早剥症候群(CAOS)などの羊水過少
- 胎児構造異常における肺低形成の予防(いずれもまだ研究段階の先進的治療です。)
- 分娩時の胎児一過性徐脈による帝王切開術の回避(経膣式:保険適応あり)

臨床研究 AmnioFGR study〜多施設共同研究〜
「胎児発育不全」という状態をご存じでしょうか?様々な原因で胎児が十分に育たない状態で、重症になると平均の半分ぐらいの大きさにしか育たない赤ちゃんもいます。もともと赤ちゃん自身には問題が無くても、胎盤が十分に機能しない場合や臍の緒(臍帯)の血流が悪い場合にも胎児発育不全は起こります。胎盤や臍帯に問題がある場合、赤ちゃんの発育が小さくなるだけでなく羊水の量も減少します。そうすると臍帯が圧迫され、さらに赤ちゃんの状態が悪くなる・・。という悪循環が起こる可能性があります。妊娠の早い時期に高度な胎盤や臍帯の問題が起こると、赤ちゃんを助けてあげられないことがあります。胎盤や臍帯など赤ちゃんを育てる環境を改善することができればよいのですが、今のところ有効な方法は確立していません。
一方で、分娩時の臍帯圧迫を回避する方法として人工羊水注入という治療法があります。分娩の際に羊水が少ないと、臍帯が圧迫されて赤ちゃんが苦しくなってしまい、帝王切開が必要となることがあります。そんなときに経膣的に生理食塩水を注入することで臍帯圧迫を解除して、帝王切開を防ぐことが可能です。分娩時の経膣的羊水注入は、健康保険の適応もあり、一般的な医療として行うことができます。我々は羊水注入による臍帯圧迫の解除を、胎児発育不全の赤ちゃんにも有効ではないかと考えました。我々の先行研究で、臍帯圧迫が疑われる胎児発育不全の妊婦さんに羊水注入を行った場合、胎児の血流が改善したという結果を確認しました。現在我々は倫理委員会の承認のもと、早期発症の重症胎児発育不全の妊婦さんに対する、羊水注入の有効性を検証する臨床研究「Amnio FGR」を実施しております。この研究には当院だけではなく、他の大学病院や周産期センターにも参加していただいており、できるだけ多くの正確なデータを集められるように計画されています。この研究によって重症胎児発育不全に対する羊水注入の有効性が確認出来れば、今まで救命が困難なであった重症な赤ちゃん達を助けてあげられる可能性があります。

羊水が減って、臍帯が圧迫されるとしんどいよ➡臍帯の圧迫がなくなって楽になった!
研究の概要


経膣分娩における人工羊水注入
経膣分娩の際、羊水量が少ないと陣痛の際にへその緒(臍帯)が圧迫されて、胎児に送られる酸素の量が減少してしまうことがあります。通常の経膣分娩では、胎児の酸素不足は一時的かつ短時間であるため、ほとんどの胎児はそのストレスを乗り越えて生まれることができます。しかし酸素不足が重症化したり長時間持続する場合は、酸素不足により児に悪影響が及ぶ危険性があるため、帝王切開が必要となることもあります。当院では分娩中にそのような児の重症な酸素不足が推測される場合に、臍帯圧迫を解除するために経膣的羊水注入を行っています。経膣的に内側陣痛計を挿入し、そこから暖かい生理食塩水を注入し羊水腔を再び作ることで臍帯圧迫を軽減します。針を使った処置ではないので、痛みはほとんどなく比較的安全に行えます。帝王切開を考慮するような重度の酸素不足が懸念される状況でも、経膣的羊水注入により約80%のケースで帝王切開を回避可能です。

産後出血 臨床の工夫
当科では、前置胎盤、凍結胚移植、子宮筋腫合併、子宮筋腫術後、母体止血困難な体調の妊婦さんの分娩も管理させていただいております。
- 帝王切開術時のB-Lynch法、筋層タバコ縫合、垂直圧迫縫合などの止血法の導入
リスクの高い方の出産時にはこれらの外科的方法を導入することで最近は、術後の大量出血例がほとんどなくなっています。B-Lynch法に関しては、その成績をJOGRという英文雑誌に報告しています。(Effectiveness of preventive B-Lynch sutures in patients at a high risk of postpartum hemorrhage. J Obstet Gynaecol Res. 2022)
他に大量出血が予想されるケースではターニケット法(尿カテーテルを応用して、子宮頸管を縛ってから胎盤剥離を行う。)も導入しており、非常に良い成績となっています。
少しでも出血量が増大しそうな場合には、予防的な外科手技が大切というコンセプトです。出血量が多くなってからでは、母体の血液を止血する凝固成分も消費されて、止血が困難になるからです。何事も早め早めの介入をすることで、悪循環にならないように努めております。

経膣分娩後には、予期せぬ癒着胎盤のケースがあります。その場合、短時間で2リットルなどの大量出血を来します。麻酔科と共同して安全な母体全身管理のもと、用手剥離術を行います。当科では産婦さんがなるべく痛くないように、子宮の奥まで届く特注の鉗子を開発し、術者が子宮内に手を入れなくても胎盤剥離ができるような工夫をしています。
産後出血の研究“4T”について、アナフィラクトイド研究
分娩に関する最も頻度の多い合併症の一つに、産後大量出血があります。全ての分娩する妊婦さんの250人に1人の割合で産後大量出血が見られ、そのうちの3人に1人は輸血治療など、生命に関わる重大な状態に対する集中治療を必要とします。
当院では、母体や赤ちゃんに何らかの問題を抱えたハイリスク症例が集まり、必然的に産後大量出血のリスクも高くなってきています。
産後出血の原因は、大きく次の4種類に分類することができます。
- 子宮弛緩:子宮の収縮が悪く、子宮の中に血液が貯留することで出血します。
- 産道外傷:分娩進行や器械分娩に伴い、産道裂傷や血管損傷によって出血します。
- 組織遺残:赤ちゃんの分娩後に、胎盤や卵膜が正常に娩出されないことで出血します。
- 凝固障害:本来備わっている止血する能力が、何らかの原因で失われることで出血します。

当院では、産後出血に対する万全の準備と迅速な対応に関する、臨床研究を進めています。
【アナフィラクトイド反応】産後出血の原因検索と輸血準備に関する研究
産後の大量出血をきたす病態の中でも、羊水塞栓症という病気は、分娩前後に突然発症する心肺停止や弛緩出血の原因となる病態で、2万〜8万分娩に対し1例の頻度で発生すると考えられています。頻度は非常に稀なのですが、とても残念なことに周産期における母体死亡のなかで約25%を羊水塞栓症が占めており、原因として最多になっています。
そこで、産後大量出血において羊水塞栓症の病態鑑別と治療戦略の早期決定が重要になってきます。羊水塞栓症では、「アナフィラクトイド反応」と呼ばれる状態が子宮・全身で発生すると考えられています。アナフィラクトイド反応が生じると、血液が固まりすぎてしまうので、血液が固まる時に働く物質(補体C3・C4)や、アナフィラクトイド反応が発生する引き金になる物質(SCC)を計測することで評価することが可能です。これらの血液検査項目を用いて、産後大量出血に対して、より迅速な病態予測を行い、母体救命・早期治療・早期回復をめざす研究をしています。
超緊急帝王切開 Grade A
当科ではハイリスクのお産を取り扱っているという施設の特性上、分娩の急変時の迅速な対応に力をいれております。
どんなお産でも赤ちゃんの状態が急変する可能性はあるのですが、発育不全や双胎妊娠の分娩の際は特に、いつ赤ちゃんが苦しい状況になってもおかしくありません。分娩中の赤ちゃんの状態をしっかりと把握して、赤ちゃんが経腟分娩のストレスに耐えられないと判断した場合は速やかに帝王切開に切り替え、元気に生まれてくれる手助けをいたします。時には赤ちゃんの状態が急激に悪化することもあり、そのときは一刻を争う超緊急帝王切開が必要となることもあります。緊急帝王切開が必要となった場合、ハイリスク周産期センターでは一般的に方針決定から30分以内に赤ちゃんを娩出してあげる事が望ましいとされておりますが、実際にそれを24時間実現することは簡単なことではありません。私たちは緊急時に可能な限り速やかにかつ安全に帝王切開が施行できるよう各部門の連携体制を強めております。当院では分娩室でそのまま手術ができる設備も備えており、緊急時はMFICU(母体胎児集中治療室)における分娩室の隣の手術室においてそのまま手術が可能です。麻酔科ともスムーズな連携を行います。医師、助産師、看護師が緊急時にどう対応するのかをシミュレーションも行なっております。
またとても重要な事は、分娩前に徹底的にリスク評価を行い、起こりえるトラブルを予測することです。発育遅延の赤ちゃんでは、発育や羊水の量、様々な箇所の胎児血流や心拍パターンの評価などを細かくチェックし、分娩時にどのような反応を示すのか予測を立てます。ハイリスク分娩はもちろんのこと、当科では妊婦健診中より特にリスクが無い方に対しても、へその緒(臍帯)の走行や付着部位の確認を可能な限り行い、妊娠中から分娩に至るまで臍帯トラブルが起こる可能性を評価しております。
こうしてハイリスク因子が確認された場合や、双胎分娩など予測困難な急変の可能性がある場合は、慎重な管理の下での計画分娩や、複数の医師が待機のもとでの分娩経過観察を行い、急変時に速やかに対応できるよう心がけております。
先日、事前に搬送前から「常位胎盤早期剥離」と情報のあった搬送例ではER(救急救命)から直接手術室に移動し、事前に待機していた麻酔科医の協力のもと決定から娩出まで12分での帝王切開を実現いたしました。また事前に「胎児徐脈」しか情報がなかった症例においても、当院到着後、速やかに診断し全身麻酔による帝王切開術にて17分での娩出を実現しました。
MRIを用いた骨盤計測
順調に分娩が進行することは、全ての妊婦さんにとって最大の願いです。
児頭骨盤不均衡は、赤ちゃんの頭の大きさと母体の骨盤の大きさに不一致があり、分娩の生理的な進行が妨げられることです。分娩停止による器械分娩や緊急帝王切開の原因になり、赤ちゃんにとっても母体にとっても悪影響を及ぼす可能性があります。
予測には、従来よりX線を用いた骨盤の計測と超音波検査が用いられてきました。しかしこれらは、赤ちゃんが放射線に曝露されることや、正確性が低いため有用性には制限があります。
近年、MRIを用いた骨盤計測法が発達しており、放射線への曝露がないことや、正確性が高いこと、また従来の検査法では評価できない部分を描出することができる利点が注目されています。特に骨盤の出口に近い部分の骨盤計測が可能になったことで、これまでは陣痛開始後に分娩停止で緊急帝王切開を必要する症例を抽出し、母体や赤ちゃんへのリスクを回避できる可能性があります。
当院では、この技術を用いて分娩前の骨盤計測から、児頭骨盤不均衡を早期に認識することや、臨床応用によって母体や赤ちゃんのリスクを回避する方法に関して研究しています。

今回、我々の研究成果が英語論文となり公開されました。
Ryuichi Shimaoka, Yuichiro Takahashi, Hitomi Ono, Masako Matsui, Kazuhiko Asai, Shigenori Iwagaki. Magnetic resonance imaging pelvimetric measurements as predictors for emergent cesarean delivery in obstructed labor. European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology: X 19 (2023)100216
臨床研究 MRIによる臍帯長計測「赤ちゃんにやさしい分娩を目指して」
MRIを用いた臍帯長評価
臍帯(へそのお)は、母体から胎盤を介して赤ちゃんに酸素や栄養素を供給する、赤ちゃんにとってまさに「命綱」です。
臍帯が短い場合には赤ちゃんの下降不良による遷延分娩、常位胎盤早期剥離、子宮内反の原因になります。臍帯が長い場合には臍帯真結節、臍帯巻絡、臍帯下垂・脱出の原因になります。つまり、臍帯の長さの異常は、赤ちゃんと母体にとって悪影響をもたらす原因になり得ます。
これまでは分娩前に臍帯の長さを測ることは技術的に困難とされてきました。しかし昨今の画像処理技術の向上から、胎児MRI検査を用いて臍帯の長さを計測できる技術が発達してきています。臍帯の中では赤ちゃんと母体の間を行き来する血流があります。MRI信号の中から、臍帯の血流に特徴的な信号のみを抽出して画像化することで、臍帯だけを描出する技術です。
我々はかねてよりこの研究を開発し臨床応用しています。
(Katsura D, Takahashi Y, Shimizu T, Watanabe Y, Iwagaki S, Murakami T, Kawabata I. Prenatal measurement of umbilical cord length using magnetic resonance imaging. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2018 Dec;231:142-146.)
当院では、難産が予測される方の場合、この技術を用いて分娩前に臍帯長を計測します。分娩後に計測した本当の臍帯長と比較することで、MRIによる臍帯長計測の正確さや臨床での有用性に関して研究を継続しています。

周産期におけるこころのケア
妊娠・出産は家族にとって大きなイベントです。その中で、家族は喜びなどのポジティブな気持ちを抱くだけではなく、精神的に不安定になりやすいことが知られています。とくに産後1週間は誰もが不安になり、気持ちの変化が表れやすいといわれており、産後うつ病となることもあります。当院では、妊娠中から助産師による保健指導の中で、身体のことのみならず、家庭環境などをお伺いし、妊娠・出産後の不安が少しでも軽減するよう面談させていただいています。また出産後にも、担当助産師がお産のふりかえりとともに、産後のお気持ちを伺うための面談を行っています。退院後は産後2週間、1ヶ月健診でのお話をさせていただき、家庭に帰ってからのサポート体制によっては、保健師による家庭訪問(母子サポート)をおすすめしています。不安が強い方には、当院の臨床心理士による面談を受けていただくこともできますので、遠慮なくスタッフにご相談ください。
またさらに当院では、名古屋大学心の発達支援研究実践センター(妊娠期からのきずなプロジェクト)との共同研究で、インターネットによるアンケート調査も行っております。当院を受診された妊婦さんには、外来初診時に登録用紙を配布させていただいています。携帯電話などからQRコードを読み取ることにより簡単に回答できますので、待ち時間などにぜひご登録頂けますようお願いいたします。これは妊娠初期から妊娠中、産後2年までの計8回、ご自身の状態や赤ちゃんに対するお気持ちを伺うアンケート調査です。パートナーの方にもご同意いただけるようでしたら、同時にご登録ください。1回につきおよそ20-30分程度で回答できます。調査を通して、こころの健康を約3年間見守っていきます。もし心理的な問題や子どもの発達等できになることが出てきた場合には、臨床心理士(公認心理師)の電話相談や面談を行うことができます。詳しくは外来で配布する資料をご参照ください。
【参考】
医療、養育関係の多職種の方向けの研究会であるぎふ周産期こころの研究会(https://gifuperikokoro.wixsite.com/home)の活動を行っています。今後とも周産期の心の問題に関しても一歩でも前進できるように地域の活性化に向けて研鑽に励んでいきたいと考えています。
Baby Friendly Hospital:BFH
産後のお母さんと赤ちゃんをみんなで応援しています(産科病棟)
当院は、2015年「赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital:BFH)」に認定され、病院全体で母乳で育つ赤ちゃんとお母さん、そのご家族を応援しています。
産科病棟では、産婦人科外来や新生児センターなど部署を超え、医師、看護師、助産師など多職種が手を組んで、妊娠中から産後まで、継続して母乳育児を支援しています。赤ちゃんが生まれたら、できるだけお母さんと一緒に過ごせるような環境を整えたり、お母さんの個性に合わせた授乳方法を一緒に考えたり、お母さんと離れて過ごす赤ちゃんにはできるだけ早く搾った母乳を届けるなど、母乳を通じてお母さんと赤ちゃんが、かたい絆で結ばれるよう願い、お手伝いさせていただきます。もちろん、母乳があげられない場合も、人工乳を選択する場合も、私たちがお手伝いさせていただきます。
お母さんやご家族の気持ちを大切に、すべての赤ちゃんが健やかに育つよう、全力で応援しています。
- 赤ちゃんにやさしい病院活動については、「赤ちゃんに優しい病院 Baby Friendly Hospital(BFH)認定病院」のページをご覧ください。
多職種カンファレンス~各部門連係について~
当院では、胎児の重症な疾患により生死の分かれ道に立っているご家族が多くおられます。また、家庭環境から、産後の子育てに難しさを感じておられる方もおられます。そんなお母さんやご家族は、産後どのように子育てをできるのか、無事育てて行けるのか、育てて行けない場合にはどうなるのか、退院後はどのような支援が得られるのか、分娩方針はどうなるのか、など様々な不安を持っておられます。そんなご家族をお支えするためには、産科・胎児診療科、新生児内科以外の多くの診療科や部門のサポートが欠かせません。助産師、新生児センター看護師、新生児外科医、小児循環器医、小児外科医などに加えて、ソーシャルワーカー、心理士など多職種で情報共有し、どのようなサポートが必要なのか、産前や産後に情報共有を行います。そして、一定の管理指針を相談し、妊婦さんやご家族に説明、情報提供させていただいております(成育連携)。外来通院、出産、産後、新生児の入院、退院してから在宅医療などで地域とつながることまで、周産期の医療はつながっています。スムーズに情報提供できるよう、情報の流れを作り出す役割がとても重要だと考えております。
周産期におけるこころのケアに関する研究
妊娠期からのきずなプロジェクトとの共同研究、インターネットによるアンケート調査
妊娠・出産は母親にとって、身体的にも精神的にも大きな負担のかかる出来事です。母親は様々なストレスを経験し、出産後抑うつ状態になりやすく、10~15%の方が産後うつを経験すると報告されています。
当科では、統合前の長良医療センター産科時代、母子の愛着研究の専門家である名古屋大学の金子先生のチームとともに妊娠中から産後のこころの健康に関する臨床研究を開始しました。「妊娠期から療育支援を必要とするご家庭を把握する」目的でスマホで入力できる研究を続けております。産科外来、緊急搬送時にスタッフから資料が配られますので、ぜひ研究にご参加ください。この研究は産後のご自身のメンタルヘルスの道標にもなります。以前、産後数か月後のお母さんを我々医療現場に繋いていただき、周囲の医療機関へ伝達、お母さんと赤ちゃんのSOSを察知することに成功しました。このような緊急アラートの機能も持ち合わせた研究となっています。
妊娠してから産後の長い期間にまで継続することで母子と愛着形成、家族関係などを研究し、ご家族の幸せにつなげていくことが目的です。今、妊娠初期は「妊娠した時に戸惑いを覚えた」という方に注目しています。また様々な研究結果をもとに、我々産科でのケアシステムを刷新していく予定です。
当院通院以外の方でもご参加いただけますので、お気軽にアクセスください。
問合せ先
高橋雄一郎・松井雅子
岐阜県総合医療センター 産科・胎児診療科
金子一史
名古屋大学心の発達支援研究実践センター教授
kaneko_lab@educa.nagoya-u.ac.jp

周産期の心によりそう~心理士
当センターには、公認心理師もチーム医療の一員として患者様により良い医療が提供できるよう活動しています。月に1回は全てのスタッフでカンファレンスを開き、患者様やご家族をからだとこころ両面から支援ができるよう意見を交換しています。
加えて、産科から新生児科、小児循環器科、小児科までのお母さんとお子さんを切れ目なくサポートできるように、週に1回病棟にうかがい入院中の皆さまにお声がけする「周産期ラウンド」をしています。産科から他の科に移っても同じ公認心理師が寄り添って家族を見守り、新しいスタッフとの橋渡しとなれるよう対応していくことで、科を移る緊張や不安を減らせるようにしています。からだの病気や障害への受け止めだけでなく、家族が抱える心理社会的な背景に対してもきめ細やかな支援ができるよう努力してまいります。
総合周産期センターにおけるファミリーサポートの視点
「すべての子どもが健やかに育つ社会」の実現を目指す国民運動である「健やか親子(第2次)」。その達成すべき基盤課題および重点課題に「切れ目のない妊産婦・乳幼児への保健対策」「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」、 「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」と「妊娠期からの児童虐待防止対策」とあります。また、核家庭・片親家庭の増加、少子高齢化、共働き夫婦の増加などを含めて、子育て環境が多様化している昨今の社会背景もあり、当科では妊娠管理・周産期管理は母体・胎児を診るというとこにとどまらず、家族背景や生活環境を含めて調整していくことが大切だと考えます。そのために当院では当院で周産期管理予定の妊産婦さんについて多職種のスタッフと定期的(現在は月1回)に”ファミリーサポート会議”として情報共有の場を設けています(現時点での参加職種:産科医、新生児センタースタッフ、新生児科医、産科外来スタッフ、産科病棟スタッフ、臨床心理士、MSW)。今後そのネットワークを地域に広げ、母子のサポートを手厚くしていきたいと考えています。
ソーシャルワーカーが寄り添います~社会資源に関する情報提供~
当院では高度な医療に加え、社会的なサポートをさせていただくために多職種(医師、助産師、看護師、公認心理師、社会福祉士等)による「ファミリーサポート」を実践しています。
私たち医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)は、妊婦さんが安心して、安全に出産に臨めるよう、妊娠期から出産、退院後の子育てまで切れ目なく支援しています。
待ち望んだ妊娠、思いがけない妊娠と妊婦さんの状況は様々で、また、環境的にも経済的にもそれぞれに思い悩むことがあります。すべてが解決するわけではありませんが、少しでも不安なく退院後の生活が整うよう、地域の保健師さんなど関係機関とも協力してご家族をサポートしていきます。
周産期相談室
コロナ禍で厳しい社会環境となっています。そんな中女性のライフサイクルに少しでも寄り添えるよう産婦人科では2021年4月、あたらしいカウンセリング外来を立ち上げました。
お気軽に受診ください。(詳細は産婦人科外来にお問い合わせください。)
当院における産前産後ケアがめざすところ〜プレコンセプション 外来〜
本来”産科”は妊娠から出産まで妊産婦さん・胎児を預かる役目をもっています。当院は総合周産期センターとしてハイリスク妊娠および出産の周産期管理をしており、磨かれた技術と経験・整った設備、強固な協力体制で安心・安全な医療を提供させていただいています。
その一方で妊娠・出産は節目であってゴールではないと考えています。プレコンセプションケアの考えの元、妊娠前から産後、子育て期と続いていく母子の心身のケア、家族での生活をサポート、そっと寄り添い伴走することで少しでも皆様に健やかに笑顔で過ごしていただきたいと思っています。どうかご自身・ご家族だけで抱え込まずにお気軽にご相談ください。
プレコンセプションケアとは
プレコンセプション(受胎、新しい命を授かること)ケアとは、思春期前から生殖可能年齢にあるすべての人の健康管理を提供することです。
当院でも専門のプレコンセプション外来を設けておりますのでお気軽にお電話をください。

羊水検査、胎児ドックのご案内
令和元年7月より当院でも羊水検査を行うことが可能となりました。
事前にご夫婦によるカウンセリング、胎児エコーを受けていただいた上で担当医と相談の上、予約が可能です。
また胎児超音波スクリーニングとして「胎児ドック」も行っております。
初期スクリーニングであれば11-14週ごろ、胎児構造評価であれば18-20週、28-30週ごろをおすすめしていますが必ずしもその週数でなくても一度ご相談ください。
胎児の向き、母体の腹部の状況次第で所見が得られない場合もございますのであらかじめご了承ください。
詳細は産科外来受付にお問い合わせください。
料金一覧
| 内容 | 料金(税込) |
|---|---|
| 羊水検査前カウンセリング (ご夫婦揃っての受診が必須です) |
6,120円 |
| 羊水検査 | 通常:91,660円 FISH法含む:131,290円 |
| 胎児ドック (胎児ドックの場合のみ紹介状はなくても外来予約を取らせていただいております) |
単胎:8,150円 双胎:16,300円 |
当院におけるNIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査検査)の概要
開始日:2024年1月4日より受付を開始いたします。
NIPT検査の流れ
1回目
産科外来受診:
当院の産科外来の予約をお取りください。ご本人のみでの受診でも良いです。
超音波検査にて妊娠の確認、多胎かどうか、胎児心拍があるかどうかなど(自費診療)
妊娠11-14週の方は、胎児ドックとすることもできます。
NIPTご希望の場合、NIPTの予約枠をお取りします。
(予約枠には限りがございますので、ご了承ください)
2回目
NIPT遺伝カウンセリング外来(火曜日午後):
ご夫婦でのカウンセリング・血液検査
3回目
血液検査から1週間後以降:
ご夫婦での結果説明のカウンセリング(火曜日午後)陽性の場合や、その後の胎児ドックなどのご希望などについてご案内させていただきます。
検査費用
| 検査費 | 132,000円 |
|---|---|
| 遺伝カウンセリング料 初回説明(1回目) | 12,600円 |
| 遺伝カウンセリング料 結果説明(2回目) | 4,700円 |
| 小計 | 149,300円 |
- 別途 産科初回受診時にかかる自費分(以下の3パターン)
自費での超音波検査代、胎児ドック(胎児エコー精査希望の方)
妊婦券使用(当院分娩の方)br>NIPTで陽性であった場合に必要な確定検査である羊水検査に関する費用(別途)
当院は出生前検査認証制度等運営委員会の基幹施設認定を受けており、遺伝カウンセラー、遺伝専門医、産科専門医による、情報提供、検査を安心して受けていただける施設です。
出生前検査認証制度等運営委員会のウェブサイトへは下記のQRコードからアクセスできます。

RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリズボ)の任意接種を開始しました!
RSウイルス感染症対策の重要性
RSウイルスは世界中に広く分布しており、生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%がRSウイルスに感染します。乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%がRSウイルス感染症によるとされています。症状は感冒様症状から下気道感染に至るまで様々ですが、特に生後6か月未満で感染すると重症化することが示されています。また、合併症として無呼吸、急性脳症などがあり、後遺症として反復性喘鳴(気管支喘息)があります。日本では、毎年約12万~14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、約4分の1(約3万人)が入院を必要とすると推定されていますが、有効な治療薬はありません。
(日本小児科学会HP参照:https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=559)
この度、妊婦さんにRSウイルス母子免疫ワクチンを接種することで、母体のRSウイルスに対する中和抗体価を高め、胎盤を通じて母体から胎児へ抗体が移行することで、生後のRSウイルスの下気道疾患を予防することが示されました。そのため、当院でも希望のある方には接種を開始いたします。
適応妊娠週数
妊娠24~36週の妊婦さん:1回0.5mLを筋肉注射
(効果が高いという理由での接種推奨週数 妊娠28〜36週。ただし接種後早産された場合での効果は未知数です。)
効果
臨床試験(国際共同第Ⅲ相試験)において、ワクチンを使用した場合、重度のRSウイルス関連下気道感染症を、生後90日で81.8%、生後180日で69.4%予防ができました。医療機関の受診を必要とするRSウイルス関連下気道感染症に対して同様に、生後90日で57.1%、生後180日で51.3%の有効性が示されています。
有害事象
反応原性の注射部位疼痛などは、ワクチン群が多かったものの、ほとんどが軽度から中等度でした。また、有害事象および重篤な有害事象はワクチン群とプラセボ群で同程度との報告があります。
費用
当院におけるワクチン費用:29,770円(保険は使えません。)
当科では、必ずエコーでの胎児の観察(経腹超音波)、早産リスクの評価(経膣超音波)をおこなう方針です。(エコー代は通常と同じで実費:5,000円)
予約
ご希望のある方は、スタッフ(産科外来、病棟)にお問い合わせください。
なお接種には予約が必要です。外来の方は事前に産科外来にお電話での予約をお願いいたします。(接種は予約後1週間以後で行う予定です。)
連絡先
たかはし ゆういちろう
高橋 雄一郎
| 役職 |
|
|---|---|
| 認定資格 |
|

いわがき しげき
岩垣 重紀
| 役職 |
|
|---|---|
| 認定資格 |
|
あさい かずひこ
浅井 一彦
| 役職 |
|
|---|---|
| 認定資格 |
|
まつい まさこ
松井 雅子
| 役職 |
|
|---|---|
| 認定資格 |
|
しまおか りゅういち
島岡 竜一
| 役職 |
|
|---|---|
| 認定資格 |
|
おの ひとみ
小野 ひとみ
| 役職 |
|
|---|---|
| 認定資格 |
|
つなかけ めぐみ
綱掛 恵
| 役職 |
|
|---|---|
| 認定資格 |
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ふるかわ よしき
古川 嘉木
| 役職 |
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|---|
かめやま ちあき
亀山 千晶
| 役職 |
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|---|
外来担当医表
| 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1診 | 午前 | 浅井一彦 (産科初診・再診) |
小野ひとみ (産科初診・再診) |
島岡竜一 (産科初診・再診) |
岩垣重紀 (産科初診・再診) |
岩垣重紀 (産科初診・再診) |
| 午後 | 浅井一彦 (産科再診) |
小野ひとみ (再診) |
島岡竜一 (産科再診) |
岩垣重紀 (産科再診) |
鈴木真理子 (思春期青年期相談室) |
|
| 2診 | 午前 | 高橋雄一郎 (産科初診・再診) |
岩垣重紀 (産科初診・再診) |
高橋雄一郎 (産科初診・再診) |
浅井一彦 (産科初診・再診) |
松井雅子 (産科初診・再診) |
| 午後 | 高橋雄一郎 (産科再診) |
岩垣重紀 (産科再診) |
高橋雄一郎 (産科再診) |
浅井一彦 (産科初診・再診) |
松井雅子 (産科再診)14:00まで |
|
| 3診 | 午前 | 神田智子 (産科初診・再診) |
尹 麗梅 (産科初診・再診) |
尹 麗梅 (婦人科再診) |
鈴木真理子 (婦人科再診) |
横山康宏 (婦人科再診) |
| 午後 | ー | 松井雅子 (周産期相談室) |
ー | 松井雅子 (一ヶ月検診) |
横山康宏 (手術診) |
|
| 新 4診 |
午前 | 鈴木真理子 (婦人科初診・再診) |
横山康宏 (婦人科初診・再診) |
齋竹健彰 (婦人科初診・再診) |
佐藤泰昌 (婦人科初診・再診) |
神田智子 (婦人科初診・再診) |
| 午後 | 鈴木真理子 (婦人科再診) |
横山康宏 (婦人科再診) |
齋竹健彰 (婦人科再診) |
佐藤泰昌 (婦人科再診) |
神田智子 (婦人科再診) |
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NCPR 新生児蘇生法講習
「産道は、人生で最も短く、最も危険な旅である」
これは、わたしたち産科医がよく聞くフレーズです。
赤ちゃんにとって母体の内外の環境は全く異なります。その最たるものが「呼吸」です。胎盤で行われていたガス交換を自らの肺で行わなければいけません。しかもそれは速やかに移行される必要があります。さらに軽度の低酸素状態などによって自発呼吸が開始しないこともあります。徐脈や心停止で出生する場合もあります。
この際に最も重要となるのが「人工呼吸」という手技です。
(あれ?成人に対するCPRでは「胸骨圧迫」の方が重要なんじゃなかったっけ?)
そう思われた方もいらっしゃるでしょう。実は、新生児仮死の90%は人工呼吸を行うことで救命できます。人工呼吸のみで徐脈や心停止を改善できることもあります。
岐阜県総合医療センター産科胎児診療科では、主に当院研修医を対象として新生児蘇生法講習会を実施しています。受講することにより日本周産期・新生児医学会公認の新生児蘇生法「専門」コース修了認定が得られます。産科、小児系を目指す方はもちろん、麻酔科、救急を考えている方も、是非受講をおすすめいたします。
当院では出産に立ち会う全ての医療スタッフがこの講習を受けて赤ちゃんを迎えています。
呼吸の確立が赤ちゃんの出生にとって大切であることは間違いありません。何より、元気な赤ちゃんの泣き声を聞くとお母さんお父さん、我々医療従事者もとてもうれしいですよね。経腟分娩や帝王切開で産まれ、過酷な旅を乗り越えた赤ちゃんを迎え入れるため、わたしたちは日々安全な呼吸補助ができるように切磋琢磨しています。


超音波症例勉強会
我々は毎月、一ヶ月の産科症例の超音波画像に関する勉強会を行っております。検査技師さんが日々のスクリーニングで分からなかった点などを出し合って夕方17:30ごろから1-2時間皆で気楽なフリートークを行います。
ですので日々の症例に始まり、教科書に載っていない解剖の話やテクニックなどなど、どんなテーマでも気軽な議論が展開されています。産科超音波を勉強したい方にとっては、技師さん、助産師さん、研修医、専門医取得後であってもとても勉強になると思います。医療関係者の方は自由参加ですのでお気軽にお越しください。









