診療内容
外科・消化器外科では、地域がん診療連携拠点病院として消化器がんの外科治療や抗がん剤治療を中心とした診療を行っております。消化器外科の手術は開腹手術から、通常の腹腔鏡手術、ロボット支援下腹腔鏡手術まで幅広く対応しています。近年は多くの手術が腹腔鏡で行われるようになり、とくに最近ではロボット支援下の腹腔鏡手術により低侵襲化と手術精度の向上が進んでいます。当院では2025年1月からDavinchi Xi(腹腔鏡支援ロボット)を増やし2台体制とし、より多くの症例に適応できるようになりました。
がんは個別化治療時代となり、遺伝子情報まで踏み込んだ病理診断により、より効果が高く副作用の少ない治療を提供できるようになってきました。各種癌において、これまで手術不可能と診断された症例でも、積極的に個別化された薬物療法を実施し、より良い効果が得られた場合には、手術(Conversion手術)をおこない根治を目指しています。
がんの治療ガイドラインを超えて、最新の治療を希望される方のため、臨床試験に参加可能な体制を整えて治療にあたっています。
また、がんに限らず、胆嚢結石症・鼠径ヘルニア・痔などの良性疾患の診療や手術も行っております。胆嚢摘出術は年間約150件、ヘルニア手術は約200件行っています。そして、当院には救命救急センターがあり、こちらから受診された方の急性腹症の治療にもあたっています。救急救命センター経由で年間150~200例前後の虫垂炎・腸閉塞・消化管穿孔・腹部外傷などの緊急手術も常時行っております。 2018年からは、鼠径ヘルニアに対しても腹腔鏡手術を導入しました。両側症例や若年の症例を中心に全身麻酔に対するリスクの少ない方にお勧めしており、2024年は33例と増加してきています。 最近では緊急のイレウスや虫垂炎にも腹腔鏡手術を積極的に適応しており、内視鏡手術の件数はロボット支援手術も含めると553例と手術件数の約半数に達しております。
現在は小児外科・乳腺外科がそれぞれ独立した診療科となっておりますが、以前は“外科”として乳腺外科、小児外科領域も治療していましたので手術や外来においてスタッフ間の協力関係を保っています。
2024年の全手術症例は新型コロナの影響がおさまり、外科・消化器外科の手術症例数は1,146例と過去最高でした。全身麻酔手術の症例数は883例です。緊急手術症例数は216例でありました。 小児外科・乳腺外科も含めると1497例であり過去最高でした。
主な対象疾患
上部消化管
上部消化管の診療は、主に食道がん・胃がんの治療を行っております。
食道がんの治療は日本食道学会の食道科専門医・食道外科認定医である、長尾成敏外科部長と末次智成医長を中心に手術を行っております。2014年1月1日付けで、日本食道学会食道外科専門医認定施設に認定されました。
食道がん手術では主に頚部・胸部・腹部の3領域リンパ節郭清を伴う、食道亜全摘術を行います。早期食道がんに対しては以前より鏡視下食道切除を取り入れておりましたが、近年では進行食道がんに対しても奏効率の高い術前化学療法(DCFやDCS)と鏡視下手術を組み合わせて積極的に低侵襲な治療を行っております。再発・根治困難な食道がんに対しては免疫チェックポイント阻害剤を含めた薬物療法、放射線治療、手術などを組み合わせて、治療効果が高くQOLを維持できる治療を目指しております。
胃がんの治療は、日本内視鏡学会技術認定医(胃領域)である長尾成敏外科部長と末次智成医長を中心に行っております。
噴門側胃切除術・胃全摘術など全ての胃切除領域に腹腔鏡手術の適応が拡がっておりましたが、ロボット支援下手術が、2023年に保険収載されたことや2025年から2台体制となり一気に増加しております。進行胃がんに対しても大型3型や4型胃がんを除いて積極的に腹腔鏡下手術やロボット支援下手術を選択し、胃癌治療ガイドラインに準じた標準的リンパ節郭清を行う根治をめざした手術を心がけております。また胃がん再発・高度進行胃がんの症例に対してもQOLを重視した外来通院での薬物療法を積極的に行っております。最近では免疫チェックポイント阻害薬や新規分子標的薬が保険適応となり、病状やバイオマーカーを踏まえて適切な治療を選択し一早く届けられるように心掛けております。
GISTなどの胃粘膜下腫瘍などに対しては 2014年より新しい腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除術(LECS)を消化器内科医の協力のうえ施行しております。
下部消化管
下部消化管の診療は、大腸がん(結腸がん・直腸がん)の治療や小腸がんの治療を行っています。
大腸がんの治療は、大腸肛門病学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医・ロボット手術プロクター(大腸領域)である田中千弘消化器外科部長と岩田至紀医長を中心に行っております。 また、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の大腸がんグループや、大腸癌研究会(規約を作成するグループ)への各年報告やプロジェクト研究に協力参加しております。
以前からの開腹手術でしかできない拡大手術が必要となることがありますが、最近では大腸がん手術対象例の約2/3を腹腔鏡(通常またはロボット支援下)により施行しています。 東海地区はロボット手術がさかんではありますが、2019年よりロボット支援直腸切除術を開始し、体制が整い始めてからは一気に増加させることができました。2022年10月からロボット支援結腸切除術 も開始し、2024年には30例を施行しました。
直腸がんの治療は下部直腸がんに対しても肉眼型・組織型を考慮し、肛門温存術式(超低位前方切除術、内括約筋合併切除)を行っております。また、下部直腸の進行がんに対しては、薬物療法と放射線治療を手術先行して行うTNT(Total neoadjuvant therapy)をご希望に合わせて選択しております。側方郭清に関して、開腹中心の過去10年間の良好な治療成績を大腸癌研究会で報告させていただきましたが、近年はロボット支援下で行えるようになりました。
また、薬物療法の進歩とともに、今まで治すことが難しかったStageⅣや再発治療における外科切除や、機器が最新となった放射線治療、それらを組み合わせた集学的治療も積極的に行っています。他地域の重粒子線治療や肝切除中心とした拡大手術治療を行っている施設にも相談しながら、最適な治療を届けるようにしております。
小腸がんは希少がんであり、国内でもガイドラン作成が進められているところです。救急外来経由で緊急手術対応が必要となることが多いですが、すでに遠隔転移をともなっていることも多いです。症例ごとに倫理委員会を経て米国のガイドラインを外挿しての薬物治療が可能なようしております。
肝・胆・膵
肝胆膵領域の診療は、主に肝臓がん・胆道がん・膵臓がんの治療を行っています。
肝胆膵領域のがんの手術は、肝胆膵外科高度技能指導医である河合雅彦副院長、肝胆膵外科高度技能専門医である小森充嗣肝胆膵外科部長、さらには高度技能専門医修練中の渡邉卓医長、多和田翔医長を中心に行っております。 当科は日本肝胆膵外科学会高度技能専門医制度の認定修練施設B(2013年以降)に認定されており、近年は増加傾向にあり年間40~50例程度の高難度肝胆膵外科手術を実施しております。 また年々高齢の方が増加傾向にありますので、全身状態に応じた治療方法を提案させていただいております。
膵臓がんや胆道がんの多くは早期発見が困難で、診断された時点で進行していることが多く、周囲の神経・血管に浸潤して拡がっていることが多いです。門脈などの血管合併切除・再建が必要な場合もありますが、手術による根治術が目指せれば、積極的に切除をお勧めしています。 特に膵臓がんについては切除可能(もしくは切除可能境界)と判断された場合は、術前化学療法(抗がん剤治療)を行うことで予後が改善することが分かってきており、手術前に化学療法を行うことも多くなっております。 また、膵臓がん、胆道がん発見当初は切除不能と診断された方についても、強力な薬物療法の効果で切除可能となることがあり根治手術を行うことができるようになることもあります。
肝臓がんについては、原発性肝がんに対しては術前の肝機能評価をもとに肝系統的切除もしくは部分切除を、ときに肝臓内科と協力して術前門脈塞栓術や術中ラジオ波焼灼療法を組み合わせた肝切除も行っております。転移性肝がんに対しては、とくに大腸がん肝転移に対しては、大腸外科チームと連携を取りながら薬物療法を併用しつつ積極的な切除を行っています。
また近年様々な臓器で広がりを認める腹腔鏡下手術については、膵臓がんや肝臓がんについても患者さんの腫瘍の状況に応じて取り入れております。
関連する診療科・専門外来
ながお なるとし
長尾 成敏
| 役職 |
|
|---|---|
| 専門分野 |
|
| 認定資格 |
|

かわい まさひこ
河合 雅彦
| 役職 |
|
|---|---|
| 専門分野 |
|
| 認定資格 |
|
くにえだ かつゆき
國枝 克行
| 役職 |
|
|---|---|
| 専門分野 |
|
| 認定資格 |
|
たなか ちひろ
田中 千弘
| 役職 |
|
|---|---|
| 専門分野 |
|
| 認定資格 |
|
こもり しゅうじ
小森 充嗣
| 役職 |
|
|---|---|
| 専門分野 |
|
| 認定資格 |
|
いわた よしのり
岩田 至紀
| 役職 |
|
|---|---|
| 専門分野 |
|
| 認定資格 |
|
すえつぐ ともなり
末次 智成
| 役職 |
|
|---|---|
| 専門分野 |
|
| 認定資格 |
|
たわだ かける
多和田 翔
| 役職 |
|
|---|---|
| 専門分野 |
|
| 認定資格 |
|
たじりか としひろ
田尻下 敏弘
| 役職 |
|
|---|
おおの しんや
大野 慎也
| 役職 |
|
|---|---|
| 専門分野 |
|
| 認定資格 |
|
ながた ゆきまさ
永田 幸聖
| 役職 |
|
|---|---|
| 認定資格 |
|
かたおか もとひろ
片岡 基紘
| 役職 |
|
|---|
みやがわ しお
宮川 詩央
| 役職 |
|
|---|
みやざき しょう
宮崎 翔
| 役職 |
|
|---|
外来担当医表
| 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1診 ⑦ |
午前 |
田尻下敏弘 |
河合雅彦 片岡基紘/永田幸聖 |
山本一雄 長尾成敏 |
小森充嗣 多和田翔 |
竹内啓将 國枝克行 |
| 午後 | ー | ー | ー |
ー |
ー | |
| 2診 ⑧ |
午前 | 田中千弘 |
岩田至紀 |
末次智成 |
田尻下敏弘 河合雅彦 |
田中千弘 |
| 午後 | ー |
ー |
ー | ー | ー | |
| 3診 ⑨ |
午前 |
宮崎翔 長尾成敏 |
小森充嗣 |
大野慎也 |
岩田至紀 |
末次智成 |
| 午後 | ー |
ー |
ー |
ー |
ー |
|
| 4診 ⑪ |
午前 |
ー |
大野慎也 |
國枝克行 (緩和外来) |
國枝克行 (緩和外来) |
國枝克行 (緩和外来) |
| 午後 | ー |
國枝克行 (緩和外来) |
ー |
ー |
ー |
|
※すべての曜日の午前中に病診・初診について対応できます。
診療実績
| 手術名/年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全手術件数 (3科合計) |
1,381 | 1,291 | 1,251 | 1,450 | 1,497 |
| 外科 | 1,034 | 970 | 907 | 1,056 | 1,146 |
| 乳腺外科 | 206 | 161 | 187 | 226 | 207 |
| 小児外科 | 141 | 160 | 157 | 168 | 166 |
| 手術名 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 胃がん (合計) |
88 | 77 | 72 | 70 | 71 |
| 胃全摘 | 10 | 11 | 14 | 15 | 7 |
| 胃切除 | 25 | 26 | 18 | 9 | 17 |
| 腹腔鏡下胃切除・胃全摘 | 43 | 35 | 35 | 32 | 35 |
| ロボット支援胃切除 | 5 | 3 | 3 | 14 | 11 |
| その他 | 5 | 2 | 2 | 0 | 1 |
| 大腸がん (合計) |
183 | 169 | 172 | 182 | 197 |
|
結腸切除+高位前方 開腹 腹腔鏡 ロボット支援 |
45 89 2 |
37 78 0 |
38 79 6 |
28 66 31 |
43 67 38 |
|
低位前方 開腹 腹腔鏡 ロボット支援 |
4 9 16 |
7 9 11 |
5 11 15 |
5 14 20 |
8 9 24 |
|
超低位 開腹 腹腔鏡 ロボット支援 |
3 0 0 |
2 2 0 |
0 1 0 |
0 3 5 |
0 0 3 |
|
Mile's 手術 開腹 腹腔鏡 ロボット支援 |
2 0 2 |
3 1 0 |
1 1 1 |
1 2 3 |
0 1 2 |
| 腹腔鏡下大腸癌切除 | 101 | 90 | 92 | 87 | 74 |
| ロボット支援結腸・直腸 | 20 | 12 | 21 | 59 | 67 |
| その他 | 6 | 18 | 6 | 2 | 2 |
| 食道切除術 | 10 | 13 | 9 | 16 | 22 |
| 肝切除術 | 26 | 24 | 25 | 24 | 24 |
| 膵頭十二指腸切除 | 14 | 17 | 11 | 18 | 17 |
| 膵切除術 | 8 | 9 | 5 | 10 | 8 |
| 肝胆膵高難度手術 | 34 | 36 | 37 | 49 | 43 |
| 内視鏡手術 (合計) |
407 | 380 | 363 | 492 | 553 |
| 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 160 | 110 | 83 | 120 | 168 |
| (うち単孔式) | 17 | 4 | 0 | 0 | 0 |
| 腹腔鏡下大腸切除術 | 106 | 105 | 102 | 105 | 89 |
| 腹腔鏡下胃切除術 | 43 | 35 | 35 | 32 | 35 |
| ロボット支援胃・直腸手術 | 25 | 15 | 24 | 73 | 78 |
| 胸腔鏡下食道切除術 | 9 | 10 | 9 | 16 | 22 |
| 腹腔鏡下肝切除術 | 2 | 9 | 8 | 8 | 9 |
| 腹腔鏡下膵切除術 | 0 | 2 | 0 | 5 | 5 |
| 腹腔鏡下虫垂切除術 | 16 | 31 | 42 | 35 | 58 |
| 腹腔鏡下胃局所切除術 | 7 | 5 | 3 | 13 | 7 |
| 腹腔鏡・内視鏡合同 胃局所切除術(LECS) |
1 | 4 | 3 | 1 | 6 |
| 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術 | 17 | 18 | 23 | 33 | 33 |
| 腹腔鏡下イレウス解除術 | 3 | 8 | 4 | 26 | 16 |
| 腹腔鏡下ストマ造設術 | 6 | 11 | 8 | 13 | 9 |
| 腹腔鏡下直腸脱修復術 | 4 | 2 | 5 | 2 | 4 |
| その他 | 8 | 15 | 14 | 8 | 12 |
| 胃・十二指腸潰瘍手術 (合計) |
2 | 7 | 7 | 7 | 12 |
| 胃切除術 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 大網充填・被覆 | 2 | 7 | 7(ラパ1) | 7(ラパ5) | 12(ラパ2) |
| 腸閉塞手術 | 42 | 44 | 21 | 20 | 25 |
| 開腹胆嚢摘出術 | 8 | 13 | 4 | 0 | 4 |
| ヘルニア根治術 | 123 | 122 | 129 | 172 | 200 |
| 虫垂切除術 | 66 | 43 | 31 | 20 | 21 |
| 肛門手術 (主に痔核) |
22 | 9 | 5 | 17 | 14 |









