肝細胞がんの治療方法
肝細胞がんの治療方法は、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓術(TACE)、肝動脈塞栓療法(TAE)、経皮的エタノール注入療法(PEIT)、化学療法などの内科的治療と肝切除・肝移植という外科的治療があります。内科的治療については内科の項目を参照してください。
肝細胞がんの特徴
- 比較的ゆっくりと発育する。
- 肝硬変、慢性肝炎に合併して発生することが多い。
- 同時または時間をおいて、がんが多発発生する傾向にある。
外科的治療(肝切除術について)
第19回全国原発性肝がん追跡調査報告によれば、肝細胞がんに限ると 2006年~2007年の手術件数は6,026例。切除率33.2%、手術死亡率0.6%であり、全肝切除例の5年生存率は56.8%、10年生存率 32.0%で、適切な手術適応に則って、適切な手術を行えば、肝切除は非常に安定した治療法の一つと言えます。
外科的治療の利点
- 切除することで肝細胞がんを確実に取り除くことが可能となる。
- 局所再発が少ない。
外科的治療の問題点
- 開腹あるいは開胸操作を行う必要があり、侵襲が大である。
(近年は腹腔鏡手術も取り入れ、侵襲の軽減を図っています。) - 頻回に開腹あるいは開胸手術をする事には難がある。
- 切除を繰り返すと残る肝臓が小さくなる。
- 肝臓の予備能が悪いと切除できない。
- 切除範囲を多くすると肝不全を発生する可能性がある。
当院における肝切除の方針
これらの特徴をふまえ、患者さんの状態を検討して内科的治療か外科的治療のいずれかを選択しております。
当センターにおいて外科的治療が選択された場合には、腹壁を切開する方法(開腹法)、腹腔鏡を用いた方法のいずれかで手術を施行しております。肝切除を施行するにあたり、下記の主旨に基づいて行っております。
- 肝細胞がんを確実に摘出する。
- 肝切除による肝不全を発生させない。
外科における入院について
入院後は直ちに手術を行います。肝切除を行った後は術翌日から歩行を開始し、3日から4日には食事を開始します。7日後に抜糸します。
入院期間は、手術後10日から14日程度になります。
肝切除の術式
肝切除には切除する肝臓の量、切除する部位によって様々な術式があります。
- 肝部分切除術(図1)
肝臓の腫瘍の出来ている部位を小さめに切除します。肝表面に近い腫瘍・多発している腫瘍・肝硬変など肝機能の悪い患者さんの肝臓がんに適応となります。

- 肝亜区域切除術(図2:肝S6亜区域切除)
肝細胞がんでは腫瘍のある門脈血流領域に沿って転移が起こりやすいと言われております。肝臓は門脈枝により8つの亜区域に分けることができ、亜区域切除術は門脈枝の担がん領域を系統的に切除する術式です。

- 肝区域切除術(図3:後区域切除、図4:外側区域切除)
肝臓は大きく、外側区・内側区・前・後の4つの区域に分けることができます。
その一つの区域を完全に切除する術式です。

- 肝葉切除術(図5:右葉切除、図6左葉切除)
腫瘍が大きい場合あるいは主要な血管に近い場合に、肝臓の左右半分を完全に切除する術式です。肝臓の機能が良ければ、残った側の肝臓が大きくなって(もとの大きさ、形には戻らない)、肝臓の働きはほぼ正常に戻ります。











